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シリーズ共闘の力(4) 共産党への信頼深化

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『しんぶん赤旗』日刊紙の連載記事 シリーズ「共闘の力」第4回です(8/24付)

2017年9月、安倍晋三首相が解散・総選挙にうって出ると、当時の民進党が希望の党に突然合流を決め、共闘分断の逆流が起こりました。日本共産党は、「逆流とは断固としてたたかう」「共闘は決してあきらめない」という二つの態度表明を行い、共闘を追求する政党・議員・候補との協力・連携を強く呼びかけました。

 こうしたなか希望の党と合流しない議員らが立憲民主党を結党すると、共産党は共闘の維持と民主主義擁護の大局的決断から、党候補を67選挙区で取り下げ、共闘体制の再生・維持、総選挙勝利へ全力で奮闘したのです。249の小選挙区で共闘勢力の一本化が実現し、32選挙区で共闘勢力が勝利し、立憲民主党が躍進して、共闘勢力は全体として38から69へと議席を伸ばしました。


(写真)参院選に向けた日本共産党の演説会で小池晃書記局長(壇上右端)、畠山選挙区候補とともに声援に応える川原氏(壇上左端)=6月8日、札幌市白石区

歴史の転換点で

 「希望の党による民進党吸収は、集団的自衛権を完全に容認する国へむけた改憲翼賛体制を目指すもので、自衛隊が海外で戦死者を出すだけでなく、『戦える国』が最上位に来て民主主義や人権を壊す動きだった」

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、こう振り返ります。「今回、16年参院選の積み上げのもとに共闘が伸びることによって、改憲勢力『3分の2』を阻止した。それは日本にとって国家のありようを決める大きなターニングポイントだ。歴史の岐路が続くもとで、この共闘の力が今後も決定的に重要になる」。そのうえで孫崎氏は「17年の危機で共闘が踏ん張ったことを含め、共産党が自身の勢力拡大より、大きな価値を守る決断の下に行動していることは、日本の民主主義にとって本当に大きな支えだ」と語ります。

 北海道では17年の総選挙で、全道12選挙区すべてで野党統一候補を擁立。5選挙区で勝利しました。

 「野党統一候補は共産党の候補者には決まらない場合が多いのに、自分たちの候補者と同じに全力で応援・支援してくれる。これまで選挙に関わったことのない市民がその姿を見ると感動して『すごい』という。平和や改憲阻止への思い、脱原発への思いが本物だということを僕らは見てきたし、心を打たれてきた」

 「戦争させない北海道・市民の風」共同代表の一人、川原茂雄札幌学院大学教授はこう述べます。

比例支持を表明

 「しかし、比例で共産党の畠山(和也)さんを落としてしまった。共産党の尽力がなければ統一候補の勝利はなかった。申し訳なさがわれわれのなかにあった」

 今回の参院選では、「市民の風」の中心メンバーの多くが、選挙区で畠山支援を打ち出しました。川原さんは個人として、比例での日本共産党支持も表明しました。「何より共産党はこの4年間、一緒にたたかってきた仲間だと思っている。有権者には自由に政党を選んでほしいが、自分たちのための投票だからこそ、改憲を止めてくれるのは誰か、脱原発を推進するのは誰かと、市民がしっかりと考えて投票するために、方向性を投げかけた。それが私にとって、畠山さんであり、共産党だった」

相手をリスペクトする党


(写真)当選の喜びの万歳をする伊藤岳氏(中央)と野田さん(その右)=7月21日、さいたま市

 「3・11東日本大震災時の福島原発事故以来、目の前にある大問題をどう解決するのか。リベラルな市民と野党が大同団結し、野党連合をつくるしかない。その一筋の気持ちで反原発運動をやってきた」。こう語るのは、元京都大学教授(環境毒性学)の石田紀郎さんです。学生時代は共産党と主義主張を争う位置にいたといいます。原発事故以降、「僕らも共産党も変わった」と感じています。

共闘維持に奮闘

 17年に共闘を壊す動きが起きた時、共産党は共闘維持に奮闘。その総選挙で、石田さんは京都1区の穀田恵二衆院議員の応援に立ちました。18年の京都府知事選挙では、共闘勢力が自民党と“相乗り”する一方、共産党は自民党と対決して市民との共闘を誠実に貫く中、石田さんは共産党とともに福山和人候補を応援。先の参院選では倉林明子選挙区候補の応援で奮闘しました。

 「家族から、いつから共産党になったんやと言われる」と石田さん。「大同団結を進めるためにまじめにやっている共産党を信頼する。私たちは、自分の勢力を伸ばすだけではなく、問題を解決するにはどうするかを突きつけられている」と語ります。

 「市民が野党をつなぐ埼玉の会」で共同代表を務める野田静枝さんは、希望の党による逆流に抗してたたかった17年総選挙をはじめ、県内で市民と野党の共闘の前進に尽力してきました。

 「共産党の共闘姿勢を見ていると、“腰をかがめて”相手をリスペクトする。各地で実際に候補者も降ろされている。大変な苦労だと思います。初めに野党共闘を言いだし、一貫して共闘にぶれない姿勢も信頼しています」

 野田さんは、今回の選挙で日本共産党の伊藤岳選挙区候補を応援する時間を持つ中で「この人にはバッジをつけてほしいと思いました」と語ります。投票日(7月21日)の夜、開票中に伊藤氏の事務所に立ち寄ったところ、ちょうど「当確」が。野党共闘の明るい道筋が感じられ、うれしさが爆発し、バンザイ写真に納まりました。

市民運動下支え

 「市民連合@みやぎ」の多々良哲事務局長は「市民と野党の共闘は長い目でみれば発展してきたが、何度も危機はあった。17年の危機を乗り越えたのは、共産党のブレない姿勢がすごく大きい。譲らない政党があることが市民の運動を下支えする大きな力になっています」と述べます。

 多々良さんは続けます。「共闘は、もちろん自民党との一騎打ちにしないと勝てないからやるのだけれど、それにとどまらない価値がある。違う党が合わさっている。互いの違いを認め合い、リスペクトしあう中に豊かな土壌が生まれてきている。多様性の共同という路線を共産党が示したことは大きい」

 日本共産党の志位和夫委員長は8日の講演で、共闘の根本姿勢について、違いを互いに認め合い、国民の切実な願いに即して一致点で協力する「多様性の中の統一」と解明しました。共闘に取り組む市民の実感と深く共鳴しています。

 多々良さんは言います。「違いがありながら一緒にやることが逆に強みだと思います。その方が、幅広い人たちを結集できる。市民的にも。いろんな政党支持の人たちが一緒にやれるし、支持政党がない人たちも入れるわけです」

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