中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)は、繰り返し巨大地震が発生する南海トラフ地震の震源域の直上に立地し、「世界一危険な原発」といわれます。再稼働を急ぐ中部電は、審査会合で地震の甘い想定を否定されるたびに次々と不正の手口を開発していきました。
安全への背信 浜岡原発不正
報告書を読む
浜岡原発の立地地域は、1号機の設置以前から大きな地震が発生する可能性が指摘されていました。1978年に東海地震を対象とした大規模地震対策特別措置法が施行されますが、国はその後も増設を許し、計5基の原子炉が建設されました。
後手後手の対応
2006年には、原発の耐震評価指針が改定されました。これに先立つ05年に中部電は、市民らの耐震性に対する疑問の声におされ、従来の想定地震動(600ガル)より大きな1000ガルに耐える耐震補強工事を行うと発表しました。
09年には駿河湾で発生したマグニチュード(M)6・5の地震の際、5号機で建設時の想定を上回る揺れを観測。想定されているM8級の地震よりはるかに小規模でしたが、機器の異常などが多発しました。
しかし、中部電は立ち止まることなく再稼働につき進んでいきます。
11年の東日本大震災後、首相要請を受け中部電は浜岡原発の全基を停止。会見で当時の社長は、津波対策を終えれば「速やかに運転再開」をしたいと表明、同年7月、高さ18Mの防潮堤建設を発表しました。
内閣府の検討会は12年に、想定すべき最大クラスの南海トラフ巨大地震について提示。津波予測では浜岡原発の地点で高さが18Mを超えるとされ、中部電は防潮堤を22%にかさ上げすることを余儀なくされます。さらに、原子力規制委員会の審査で津波予測が高くなり、中部電は24年にすでにできあがっている高さ22Mの防潮堤を28Mにすると発表しました。
また中部電は、内閣府検討会の南海トラフ地の断層モデルに基づき、13年に改造工事用地震動(1200ガル)などを設定。配管のサポートなどの耐震工事を実施します。
こうした、再稼働に前のめりの姿勢のもとで、不正が起きました。
発覚恐れて加工
14~15年、規制委に3、4号機の新規制基準審査を申請。このとき示した想定される地震動の一つ(SsーD)は、13年の改造工事用地震動と同一でした。
報告書では、中部電による地震動評価に関する不正がいつから始まったのか、経緯などは不明としています。中部電の調査では、遅くとも12年には始まっていたとみられています。
報告書では、規制委の審査での説明と異なる手法が、16通り使われたと認定。特に、中部電が当初活動性がないとして評価対象外にしていた敷地周辺の断層について、規制委から活動した場合の地し動の評価を求められると、“SsーDに収めるため”に新たな手口を開発していきます。
これまでも明らかになっていた断層モデルに基づく評価手法での「代表波」の意図的な選定以外に、施設への影響を見るデータについて、施設影響評価で「厳しい結果」が出たという回答を受けて、値を変更するなど不正をおこなっていました。不正発覚を恐れて後付けでデータを加工するなど、たがが外れた様子がうかがえます。

前回は9日付 しんぶん赤旗10月23日付











