中部電力浜岡原発(静岡県)のデータ不正問題で、先月発表された特別調査委員会の調査報告書。複数回の内部通報がありながら、不正を続けた同社内の生々しい様子が浮かび上がります。
安全への背信 浜岡原発不正報告書を読む
不正が確認されたのは、原発で想定される地震の揺れ(基準地震動)の評価です。都合のいい地震波を意図的に選ぶなどしていました。中部電の原子力土建部が担当しました。
中部電は2018年5月の審査会合で、審査資料に根拠が示されていないことや誤記がたびたび見られるとして、原子力規制委員会から再発防止策を求められました。そこで、過去に審査対応に関わった者を「ライン外専門家」として選任し、チェックさせました。
報告書によれば、複数のライン外専門家が、審査資料の記述と、基準地震動策定のために実際に行った作業が異なることなどを指摘しましたが、改善はされませんでした。
同年8月には、ライン外専門家が、計算した地震波の選定方法を明記する必要があると、同部の担当者らに指摘。これに対し担当者は「事実を(原文ママ)異なる説明をすることとなりますが、そんなことは無視して…」と、メールを返しています。このメールでは、実際とは異なる選定方法をとる理由に、地震動を一定の範囲に「何としても収めるために」と表明しています。
22年1月には、複数のライン外専門家の希望で、原子力本部の責任者との面談が行われました。面談前、同本部責任者から口上を用意するよう指示されたとして原子力土建部が、対応案を作成。同本部責任者はそれに従った発言に終始し、改善はされませんでした。
相談窓口はあるが
中部電には、コンプライアンス推進のための相談窓口(ヘルプライン)があります。ここにも基準地長動に関する内部通報がありました。
1回目は19年10月。敷地近くの断層活動による地震動評価に関して、審査資料の記載を問題視するものでした。通報を受けたヘルプライン事務局は、外部弁護士などに相談し、原子力土建部に調査などの対応を要請しました。
同部は、審査資料の説明文に「等」と加える微修正で対応する報告書案を提示。ヘルプライン事務局は資料に詳細を記載する必要性を指摘します。これを受け原子力土建部責任者は、法務室の管理職に「浜岡を諦めるリスクを自ら顕在化させるということであれば、ご指摘の様な記載もしますが・・・」などとするメールを送し、「等」とのみ加える対応を主張しました。
対応を巡ってヘルプライン事務局は、勝野哲社長(当時)に説明しました。説明資料には、原子力土建部の対応策案では「隠ぺい」と批判されることや「当社への信頼を損ねるリスク」があるとする外部弁護士の評価が記載されていました。審査資料に詳細を明記する場合については「(規制委から)浜岡の成立性に関わる指摘を受ける可能性がある」と原子力土建部の見解が記載されていました。
勝野氏は新たに専門家から意見を求めることを条件に、原子力土建部の対応案を了承。同部がその後新たに専門家に意見を求めることはありませんでした。
複数回の指摘無視
2回目の通報は21年1月でした。ヘルプライン事務局はこの時も、原子力土建部に事実関係の調査などを依頼。同部が事実と異なる内容の報告書を取りまとめ、対応を終了しました。
25年5月、原子力規制庁が公益通報に基づく調査を開始。ここでも原子力土建部が対応し、規制庁との面談で事実と異なる説明を繰り返します。規制庁が委託先の報告書の原本提出を求めたことで、同年12月にようやく不正を認めました。
中部電は、複数回の指摘や内部通報がありながら、原発再稼働のために不正を改めない原子力土建部が中心となり、これらの訴えを握りつぶしてきたのです。
しんぶん赤旗10月9日付












