原子力規制委員会は7日の定例会合で、中部電力浜岡原発3、4号機(静岡県)の再稼働の前提となる審査で、想定される地憲動の揺れ(基準地震動)の評価において不正が行われた問題が報告され、議論しました。
山中伸介委員長は「安全に直接かかわる審査データの捏造。明らかな不正行為と考える」と批判。中部電の報告を待たずに何らかの対応をすべきだとして、原子力規制庁に検討を指示し、来週にも中部電に対する立ち入り検査などの対応を検討します。
会合ではほかの委員からも「審査の前提を根底から覆すもので深刻」「審査の継続は不可能」などと批判が相次ぎました。
基準地震動は、耐震設計の目安とされるもの。不正とされたのは、中部電が基準地震動に関するデータを意図的に選定し、過小評価していた疑い。この問題は、公益通報制度に基づいて、規制庁に対する外部からの情報提供で明らかになりました。同庁から調査するよう要請を受けた中部電が昨年12月18日、社内での不正行為を確認したと報告。規制委は同月19日、山中委員長の指示で、いったん審査を停止しています。
会合後の会見で山中委員長は、中部電の不正を「安全規制に対する暴挙。前代未聞の事態で、相当厳しい対応になる」と発言。また、浜岡原発の審査については「申請書の信頼性、これまでの審査の信頼性が問われているので、審査そのものをすべて見直す必要がある」と述べました。
新規制基準の適合性審査では、2020年に日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県)の審査で説明。資料を無断で書き換えていた問題がありました。その時は1年以上にわたって審査が中断。規制委は検査官による日本原電本社への立ち入り調査を行いましたが、意図的な書き換えは確認できなかったとして、22年に審査を再開しています。
審査の前提覆す不正
浜岡原発規制委の発言
中部電力が浜岡原発(静岡県)の審査のデータを意図的に操作し、想定される最大の地裏の揺れを過小評価していた疑いが発覚した問題で、原子力規制委員会は7日、対応を協議しました。各委員のおもな発言は以下の通り(長崎晋地委員は欠席)。
■山岡耕春(こうしゅん)委員
(中部電力の行為は)研究不正にたとえると、ねつ造、改ざんにあたる。浜岡原発は南海トラフ地の震源域の直上であり、国民の関心が最も高い地域。中部電力は真摯(しんし)に取り組んでいると信じていたが、大きな失望を感じた。審査では原子力安全に一義的責任を有する事業者が適切性と信頼性を確保して申請した上で、内容を審査するのが前提。今回の不正行為はその前提を根底から覆すもので深刻。
■杉山智之委員
心底がっかりしている。一時的に審査を停止しているが、再開などできるはずがない。不正は基準地農動策定の部分だが、それと関係がないプラント(施設)の審査を継続できるかといえば、とても容認できない。中部電力の申請書のどこが信用できて、どこが信用できないのか、すでにわからない。その状態で審査の継続は不可能。確かな情報を得て、審査の前提が確立するまで審査の再開は不可能。中部電力が不正行為が起こらないよう組織を改善できるのか、確認する必要がある。
■神田玲子委員
たいへん深刻な事案。中部電力のプレスリリースには影響として審査への影響、会社の原子力事業へ。信頼の失墜の言及はあるが、これにとどまらない大きな影響がある。原子力規制庁はこれまでかなりの人的リソース(資源)を投入し、これに要した国費をむだにする行為。
■山中伸介委員長
安全に直接かかわる審査データのねつ造案件で、明らかに不正行為・安全の確保は事業者の一義的な責任。国際的にも国内的にも一番大切にしなければならない安全原則。中部電力の(第三者委員会の)報告を待たずになんらかの対応をするべき。委員会としても審査を止めることに異論はないはず。
原発動かす資格なし
「原発なくす静岡の会」代表の林克(かつし)さんの話 データをねつ造して過小評価したとされる基準地震動(想定する地農の最大の揺れ)は原発の安全性にかかわる対策の根幹となるものです。この評価に基づいて、どの程度の対策を講ずるのかという流れになるわけで、県民のいのちと暮らしを守る上で今回の改ざんは決して許されないことです。浜岡原発の場合、やがて必ず来るとされる南海トラフ地の想定震源域の真上に位置し、世界一危険な原発とされています。その意味で地震に関する審査は念入りにしなくてはならないはずです。基準地震動が2023年に「おおむね妥当」と必要最小限の対策で済む数値であっさり通ったのにびっくりした覚えがあります。私たちからすれば注文がいろいろある原子力規制委員会ですが、福島事故後の反省で審査は科学的な裏付けをもって行われているとされていたのに、それを裏切る行為で、最もやってはならないことです。中部電力には原発を動かす資格はありません。基準地震動の審査をやり直すのでなく、再稼働の申請を取り下げるべきです。再稼働させず廃炉にするためにこれからも頑張ります。
赤旗新聞1月8日付












