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汚染水放出 今年度3万トン超

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廃炉見通しないまま

漁民との約束 東電沈黙

 東京電力は24日午後1時ごろ、東電福島第1原発事故で発生した汚染水(アルプス処理水)の海洋放出を開始しました。多核種除去設備(アルプス)で処理した後、敷地内のタンクにためた処理水のうちトリチウム(3重水素)以外の放射性物質が放出基準未満とされた約7800トンの処理水を17日間かけて放出する計画です。政府・東電は、2051年の「廃炉」完了までに放出するとしていますが、事故で溶け落ちた核燃料の取り出しなど廃炉の見通しは立っていません。


 東電は、処理水に海水を混ぜてトリチウム濃度を、国の告示濃度限度(1リットル当たり6万ベクレル)の40分の1(同1500ベクレル)未満に希釈。全長約1キロの海底トンネルを通して海に放出します。

 東電はこの日、海水で薄めた処理水をトンネル手前の水槽にためて分析。トリチウム濃度が1500ベクレルを下回ったとして放出開始を判断しました。東電は沖合3キロの10地点などでトリチウム濃度を調査し、早ければ25日以降に公表するとしています。

 水産物等の買い控えなどが懸念され、東電は風評被害が生じた際に賠償する方針。放出開始後、東電の小早川智明社長は「信頼を受けるべく、風評対策をすることが極めて重要。廃炉が終わるまで、しっかり努める」と強調しました。

 現在、1000基を超えるタンクにたまった処理水は約134万トン。23年度の放出量は、その2・3%に当たる約3万1200トン(タンク約30基分)で、4回に分けて放出する計画です。含まれるトリチウムの総量は約5兆ベクレル。ただ、汚染水が増え続けているため、放出分がそのまま減りません。東電によると、毎日100トンの汚染水が増える場合、今年度の減少分は約1万1000トンで、タンク10基分にとどまります。

 政府と東電は15年に福島県漁連と「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束しています。会見した小早川社長に「理解は得られたのか」と記者から質問がありました。

 小早川社長は「総理、西村(経産)大臣が一定の理解を得て進めることに関して、われわれは承知している」と述べて、東電として理解を得たかどうかについて判断を示しませんでした。

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