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新型コロナQ&A 第2弾 医療どうなる くらし・雇用は…

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 新型コロナウイルス感染症による、深刻な事態が広がっています。医療はどうなるのか、くらしや雇用を守るにはどうしたらいいのか、どういう制度が使えるのか――。3月21日付につづき「Q&A」第2弾で考えてみました。


緊急事態宣言とロックダウンの関係は?

 Q 緊急事態宣言が出るとどうなるの? ロックダウン(都市封鎖)との関係は?

 A 3月に成立した改正新型インフルエンザ等対策特別措置法で発令可能となった「緊急事態宣言」は、諸外国での「ロックダウン(都市封鎖)」とは違います。「緊急事態宣言」は、「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれ」「全国的かつ急速なまん延により国民生活や経済に甚大な影響を及ぼすおそれ」という二つの要件を満たすと政府が判断した場合に発令されます。対象地域と適用期間を示すこととされ、対象地域の都道府県知事にはさまざまな権限が付与されます。

 東京都の小池百合子知事は3日の会見で、「宣言が出た場合の都の対応」について説明。都民に外出自粛を要請するとともに、施設、イベントの主催者に使用の制限、停止などを要請するとのべました。一方、食料品・医薬品など生活必需品の販売や銀行などの金融サービスなどは必要な衛生管理などを確保のうえ営業してもらう考えを示しました。

 海外でおこなわれている「ロックダウン」は、外出禁止令など罰則を伴う強制措置が取られたり、交通機関が遮断される場合があります。日本の場合は、特措法でもこうした強制措置はなく、罰則も伴わない要請です。小池都知事も「日本においてはお願いベースになっている」とのべ、「交通機関がとまることもございません」と明言しています。

 日本共産党は、感染のまん延を防ぐために「緊急事態宣言」を発令する場合でも、(1)理由や目的、とられる措置など国民への丁寧な説明を行い、混乱が起きないようにすること、(2)自粛や活動の制限を要請する場合は補償を行うこと、(3)基本的人権の制限は慎むこと―が必要だと考えています。

焦点の問題は

医療崩壊防ぐには?

 Q 都市部を中心に新型コロナの患者を受け入れるベッドが足りないという話を聞きます。現場も大変で医療崩壊を心配する声もありますが…。

 A 新型コロナの感染者が都市部を中心に急増し、各地で院内感染も発生するなか、医療現場の負担が限界点を超え、医療崩壊が起こる危険性が高まっています。日本医師会が「医療危機的状況宣言」を発し、政府の専門家会議が「今日明日にでも抜本的な対策を講ずるべき」と断じる非常事態です。

 ところが、政府は、感染患者を受け入れるための病床の確保、人材の配置、治療に必要な機材の調達などに、いまだまともな財政支援を行っていません。日本共産党は、医療崩壊をくい止めるための抜本的予算措置を政府に求めています。

 医療体制の確保に必要な経費は全額国が補償することを明確にし、病床確保や医師・看護師配置への財政措置を早急に行うことが必要です。医療用マスク、ゴーグル、防護服、人工呼吸器などの供給を国の責任で進めることも求められます。

 入院の必要がない軽症の感染者は、宿泊・療養施設を基本にして対応することとし、そのためにホテルなどを借り上げた場合の費用も国が負担するのが当然です。必要な医療スタッフなどの配置も必要です。

 院内感染を防ぐためにも、新型コロナ患者を専門に治療する病院と、一般患者に対応する病院との役割分担を明確にし、それぞれに手厚い支援を行うことが重要です。

 急性期病床を減らすため、400を超える公立・公的医療機関を再編統合するという計画は、ただちに凍結・撤回するべきです。

自粛と補償セットとは?

 Q 共産党は「政府が自粛を要請するなら補償と一体で」と主張していると聞きました。どういうことですか?

 A 新型コロナの感染拡大を抑えるには、「密閉・密集・密接」を避け、各種行事の自粛を要請するなど、市民に行動の変容を求めることが必要となります。しかし、それに伴う収入減や負担増への補償がなければ、要請の効果は限られたものにとどまり、感染防止の実効性も担保されません。そもそも、国の自粛要請によって生じた損失を、国の責任で補填(ほてん)するのは当然です。憲法29条3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と規定しており、感染拡大防止という公共のために起きた損失を政府が補償するのは当然です。

 イギリスでは、新型コロナ対策として、労働者、自営業者、フリーランスの人を対象に、所得の8割を補償する措置がとられています。ドイツでは、10人未満の小規模事業所に180万円、個人事業主やフリーランスの人に108万円を一括支給し、経営を守る仕組みが採用されています。

 日本共産党は、▽緊急にすべての国民を対象に1人10万円の給付金を急いで支給する、▽非正規雇用やフリーランスを含め、賃金・収入の8割以上を補償する手だてをとる、▽自粛要請の影響を受けている中小企業・事業者に、家賃・水光熱費など固定費の補償や、税・社会保険料の減免を行う、▽イベント中止などに伴うキャンセル料・必要経費を補填する――などの政策を提案しています。

(写真)人通りがまばらな東京・新宿駅南口=4日午後

自治体に1兆円、効果は?

 Q 自治体に1兆円規模の交付金が出ると聞きましたが、どんな効果が期待されるのですか?

 A 政府と自民党が、3日に合意した新型コロナ感染拡大を受けた経済対策の一つです。交付金は自治体の判断で使えるもので、地域の実情にそった助成が期待されます。

 この問題では、日本共産党の小池晃書記局長が3月23日の参院予算委員会で、「(2008年の)リーマン・ショックのときに、地域の実情に応じて使える臨時交付金というのをやった」と紹介。「売り上げが激減している観光、宿泊、飲食、バスなどをはじめとする運輸、これは融資だけでは危機から救えない。交付金などによる直接助成が必要だ」と要求していました。安倍首相も「リーマンのときのさまざまな対応等も念頭に置きながら、場合によってはそれを上回る対応をしていきたい」と応じていました。

 大門実紀史参院議員も財政金融委(3月18日)で要求していました。今回の交付金はこうした要求が実ったものといえます。

現金給付の考え方は?

 Q 政府は所得減少を条件に1世帯あたり30万円を支給する方針だと聞きましたが、現金給付をどう考えたらいいのでしょう?

 A 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の自粛要請などの影響で、収入が激減している自営業者やフリーランス、イベント中止で活動困難に陥っているミュージシャンや劇団、業者など、いますぐ現金が必要な人がたくさんいます。家賃や水光熱費といった固定費は出ていくし、さまざまな必要経費は支払わなければならないからです。

 ですから共産党は、現金給付について、一刻も早く届けることが必要だと考えています。そのためには、政府が検討しているような条件付きの限定給付でなく、すべての国民を対象に1人10万円の給付金を急いで支給することです。高額所得者にも給付されるのが不公平というのであれば、新型コロナ終息後に所得税の増税など実質的に返納してもらう方式が合理的です。

 そして何より、1回きりの現金給付で終わりにせず、「自粛にともなう損失の補償」を、コロナ収束まで継続的に行うことを強く求めています。

医療

だるさ・頭痛 検査可能?

 Q だるさや頭痛、軽い咽頭痛があります。検査ができますか?

 A 何らかの症状があり、診察をした医師が“検査をするべきだ”と判断した場合は、すみやかな検査が必要です。

 PCR検査は3月6日から保険適用されましたが、その後も多くの場合、保健所などに置かれている「帰国者・接触者相談センター」にまず相談し、検査を実施する医療機関(帰国者・接触者外来)を紹介してもらうという形で検査が行われてきました(制度上は、直接「帰国者・接触者外来」で受け付けてもらうことや、かかりつけ医から紹介してもらうことも可能になりました)。こうした状況のもと、「相談センター」に相談をし、「帰国者・接触者外来」に行けた人は5・3%、実際に検査を受けられた人は4・0%にとどまっています(2月1日~3月31日累計)。政府は“1日9000件の検査能力がある”と言っていますが、実際の件数は1日3000件程度です。日本の検査件数が少なすぎることは、日本医師会や海外の研究者も問題視しています。

 日本共産党は、患者の重篤化を防ぐためにも、医師が必要と判断する人は迅速に検査ができるようにすることを求めています。そのため、「相談センター」をまず経由するというやり方を見直すこと、検査を行う医療機関・研究機関に財政支援を行うこと、血液を使った簡易な検査キット(抗体検査法)を早期に導入すること――などを提起しています。

同居者陽性どうすれば?

 Q 同居している家族が陽性になりました。どうしたらいいですか?

 A 新型コロナウイルスに感染しても、8割の人は軽症・無症状ですむとされています。これまで、新型コロナへの感染が確認された人は、無症状や軽症の人を含め、感染症指定医療機関にある感染症病床に隔離され、入院治療を受けてきました。しかし、感染者が急増するなか、政府は医療崩壊を防ぐため、軽症・無症状の感染者については、医師の判断で、自宅療養か、宿泊施設での療養を行う方針を打ち出しました。

 政府は、宿泊施設での療養を求める対象を、同居家族に高齢者や医療従事者がいる人などとしていますが、日本共産党は、軽症者の対応は宿泊・療養施設を基本とし、その確保と運営に必要となる経費は国が保障するべきだと主張しています。国の責任で軽症患者を受け入れる体制を確立し、個室と食事を提供しながら、健康状態のチェックや治療を行っていくことが必要です。

 もしも、感染者が自宅療養となった場合は、家族と部屋や日用品を別にし、常にマスクをつけ、家族と接触する場合は1メートル以上の距離をとるなど、感染拡大を防ぐ対応が求められます。

(写真)全員マスクをして室内遊びをする児童=都内の学童保育クラブ

「マスク2枚」意味ある?

 Q 「マスク2枚配布」って意味ある?

 A 安倍首相が打ち出した、「全世帯に布製マスクを2枚ずつ郵送」という措置に、多くの国民から驚きと失望の声があがっています。綿やガーゼを使った布製マスクについては、縫い目の穴が大きすぎて飛沫(ひまつ)を防ぐ効果が低いことや、洗って使うことでかえって衛生上の問題が生じることなどが指摘され、WHO(世界保健機関)の文書も、「布製マスクはいかなる状況のもとでも推奨できない」と断じています(マスクの布の間にキッチンペーパー等をはさむことで効果を上げることは可能)。

 マスク2枚を全世帯に郵送するのに必要な予算は250億円程度と見られます。国民は今、政府の自粛要請やコロナ不況による所得の激減にあえいでいます。マスク2枚配布に、「税金の使い方が違う」という声が上がるのは当然です。

治療薬や簡易検査は?

 Q 治療薬や簡易検査は?

 A 新型コロナ感染症の治療法の開発に、世界の研究者が全力をあげています。ワクチンの開発には1年以上の時間がかかる見通しですが、治療薬をめぐっては、新型インフルエンザの治療薬アビガン、急性膵炎(すいえん)の治療薬フサン、マラリアの治療薬ヒドロシキクロロキンなど、既存の医薬品が新型コロナ感染症にも有効性を持つという報告が出てきています。これらの医薬品は、すでに医療現場で患者に投与されてきたものです。副作用に注意しながら、こうした既存薬を活用することを含め、有効な治療法のすみやかな開発と実用化が求められます。

 検査をめぐっても、血液中の免疫から感染の有無を検査する、抗体検査法の早期活用が関係者から要望されています。この検査は、感染が疑われる人から少量の血液を採取して行うもので、PCR検査のように医療従事者が、かくたんなどの飛沫(ひまつ)を浴びる危険性がありません。現時点で感染しているかどうかの判断は難しいとされていますが、過去に感染し、抗体ができている人を検出することが可能であり、地域でどれだけ感染が広がっているかの指標にはなると言われています。イギリスでは、政府が350万キットを注文しました。

 今回の新型ウイルスは、人類が発見した7番目のコロナウイルスですが、1~4番目のコロナウイルスは現在、通常の風邪のウイルスとして多くの人が免疫を持っています。5番目のサーズ、6番目のマーズは一時猛威をふるいましたが、一定期間で流行は終息しました。今回の新型コロナも、時間はかかっても必ず終息するものです。

雇用・労働

待機や解雇いわれたら?

 Q 新型コロナの影響で自宅待機や解雇といわれたら。

 A 新型コロナの影響で、解雇や雇い止めにあった人は2カ月で1028人(3月31日現在、厚労省発表)。突然「解雇だ」といわれたら、暮らしも成り立たなくなります。

【自宅待機・シフト削減の場合】

 国や自治体からの自粛要請があったとしても、会社の判断で休みにするわけですから、賃金の支払いを求められます。労働基準法26条は、平均賃金の6割以上の「休業手当」を支払うことを求めています。また、民法536条2項の「使用者の責めに帰すべき事由」にあたる場合は、全額支給となります。シフト削減の場合も同様で、アルバイトにも適用されます。また、学校休業に伴う助成金も6月30日まで延長になっています。

【解雇の場合】

 新型コロナで会社の経営状態に影響が出たとしても、労働者には何の責任もありません。もし解雇されたら、会社の都合です。これは「整理解雇」と呼ばれ、通常の解雇よりも厳格に判断されます。そのために、「整理解雇の4要件」((1)人員削減の必要性があること、(2)解雇を回避するための努力が尽くされていること、(3)解雇される者の選定基準および選定が合理的であること、(4)事前に使用者が解雇される者へ説明・協議を尽くしていること)に照らして妥当性が厳しく問われます。

【雇い止めの場合】

 有期雇用契約の雇い止めの場合は、労働契約法19条に照らし、一定の場合には、解雇の場合と同様に、雇い止めに正当な理由(客観的合理的理由と社会通念上の相当性)が必要です。会社側の一方的な雇い止めは制限されています。

 解雇・雇い止めなどの労働相談は、全労連の労働相談ホットライン(0120・378・060)などに相談してください。

生活苦 使える制度は?

 Q 生活が苦しくなった。使える制度は?

 A 休業や失業で緊急に生活のためのお金が必要になった場合、社会福祉協議会による貸付制度があります。

【生活福祉資金貸付制度】

 3月25日から生活福祉資金制度にもとづく特例貸付が始まりました。「生活資金をただちに」と求める国民世論をはじめ、日本共産党など野党各党の要求が政府を動かしたものです。緊急対策の一環として、低所得世帯以外の一般世帯にも拡大し、「休業や失業等により生活資金でお悩みの方々に向けた、緊急小口資金等の特例貸付」(厚労省)制度です。

 この制度は、主に休業者向けの「緊急小口資金」と、主に失業者等向けの「総合支援資金」があり、両方で最大80万円まで借りられます。今回の特例措置で「償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる」という返済免除規定が加わりました。(下の厚労省作成チラシ参照)

 このほか、自治体独自の緊急融資制度や休業補償制度などを創設する動きも広がっています。

主に休業された方向け(緊急小口資金)

 緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、少額の費用の貸付を行います。

■対象者

 新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯

 ※従来の低所得世帯等に限定した取り扱いを拡大。

 ※新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、休業状態になくても、対象となります。

■貸付上限額

・学校等の休業、個人事業主等の特例の場合、20万円以内

・その他の場合、10万円以内

 ※従来の10万円以内とする取り扱いを拡大。

■据え置き期間

 1年以内

 ※従来の2月以内とする取り扱いを拡大。

■償還期限

 2年以内

 ※従来の12月以内とする取り扱いを拡大。

■貸付利子・保証人

 無利子・不要

■申込先

 市区町村社会福祉協議会

主に失業された方等向け(総合支援資金)※

※総合支援資金のうち、生活支援費

 生活再建までの間に必要な生活費用の貸付を行います。

■対象者

 新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯

 ※従来の低所得世帯に限定した取り扱いを拡大。

 ※新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、失業状態になくても、対象となります。

■貸付上限額

・(2人以上)月20万円以内

・(単身)月15万円以内

 貸付期間:原則3月以内

■据え置き期間

 1年以内

 ※従来の6月以内とする取り扱いを拡大。

■償還期限

 10年以内

■貸付利子・保証人

 無利子・不要

 ※従来、保証人ありの場合は無利子、なしの場合は年1.5%とする取り扱いを緩和。

■申込先

 市区町村社会福祉協議会

注 原則、自立相談支援事業等による継続的な支援を受けることが要件となります。
今回の特例措置では新たに、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができることとしています。

解雇され、寮を出ろと…

 Q 会社を解雇され、寮を出てほしいと言われ困っています。どうすればいいですか。

 A 新型コロナウイルス感染拡大の影響による解雇、派遣切りなどで、会社の寮からの退去や家賃滞納を理由に立ち退きを迫られる事例も増えています。

 住まいは生活の基盤であり一度失うと自力で確保することは困難です。退寮を言われてもすぐに同意せず、労働組合などに相談しましょう。また、住宅確保給付金制度があります。2008年のリーマン・ショックの時、仕事も住まいも失った人々のために創設された制度です。

 家賃支払額が3カ月支給されます。再就職先が決まらないなどの「特別な事情」がある場合は最長9カ月まで支給が延長されます。求職活動を続けていることなどの支給要件があります。お住まいの自治体の福祉担当部署が相談窓口となります。

 家賃に限らず、生活困窮する場合は、生活保護制度をためらわずに活用しましょう。

「雇用調整助成金」とは?

 Q 「雇用調整助成金」って何?

 A 新型コロナの影響で、売り上げが減ったり、事業活動を縮小した事業主が労働者を休ませて雇用の維持をした時の「休業手当」に対する助成金です。

 政府は新型コロナの感染拡大に伴って4月1日から6月30日までを緊急対応期間として、雇用調整助成金の特例措置を拡充しました。雇用保険の加入期間が6カ月未満の人や被保険者でない人、新入社員やパート従業員を休ませた場合でも活用が可能です。助成率は、今回の特例では大企業が休業手当日額の3分の2、中小企業が5分の4。従業員全員を雇い続ける場合はそれぞれ4分の3、10分の9に増えますが、1人当たりの日額は8330円が上限です。支給日数の上限は通常、1年100日などとなっていますが、今回の6月末までの緊急対応期間は、通常の100日とは別枠で日数を確保しています。

 休業した労働者に直接支給するのではないため、企業が負担増を嫌って申請しない場合があります。日本共産党は、国による10分の10の助成、賃金・収入の8割以上の補償を求めています。

(写真)新型コロナウイルスの感染予防対策で公演の中止を知らせる掲示=3月20日、東京都中央区の新橋演舞場

税・保険料・公共料金は

 Q 税金や保険料、公共料金への配慮は?

 A 納税・支払い猶予の制度があり、財産の差し押さえも猶予されます。

 国税庁は、税納付によって「事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる」などの条件を満たす場合、「税務署に申請することにより、納税が猶予されます」として、ホームページなどで税務署への相談をよびかけています。特に、▽新型コロナ患者発生に伴う消毒などにより財産に相当な損失が生じた場合、▽本人または家族が感染した場合、▽事業を廃止し、または休止した場合、▽事業に著しい損失を受けた場合―などの「個別の事情」について「まずは電話で最寄りの税務署に相談を」と強調しています。

 国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険については厚労省が3月10日、「関係事務の取り扱いについて」との事務連絡を出し、「保険者の判断で、保険料(税)の徴収猶予を行うことが可能とされている。…各保険者において、これについての周知も含め、適切に運営いただきたい」と都道府県などに連絡。厚生労働省は、厚生年金保険料についても、3月12日、日本年金機構に「納付の猶予」や「換値の猶予」の検討を求めました。電気・ガス・水道料金についても、政府は各事業者に全国一律の支払い猶予を要請し、多くのところで3月25日から申請受け付けが始まっています。日本共産党の清水忠史衆院議員などが国会で求めていました。

 詳しくは市町村や各事業者に問い合わせてください。

学費・就職支援

授業料の減免制度は?

 Q 授業料の減免制度などがあると聞きましたが。

 A 新型コロナにかかわって、現役学生から「親の仕事がなくなり、学費が払えなくなる」との不安の声が上がっています。

 文部科学省は、3月26日に、「新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した学生等への支援等について」との事務連絡を出しています。そこでは、4人世帯で年収が380万円以下(住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯)の世帯の学生に、授業料・入学金の免除・減額とともに給付型奨学金を支給するとしています(別表)。2020年4月からのスタートですが、申し込みをまだしていない学生は、4月以降も申し込みができます。申請方法は、(1)申し込み案内などを学校から受け取る、(2)申し込み案内にもとづき必要な書類をそろえる、(3)学校に必要な書類を提出する―です。各学校の学生課や奨学金窓口に相談してください。

 日本共産党の吉良よし子議員は、3月18日の参院文部科学委員会で、深刻な学生の実態を紹介し、「学費や入学金減免、免除、もしくは納入額の猶予などを求めていました。

内定取り消された

 Q 内定を取り消すといわれました。

 A 期待に胸ふくらませて、新社会人に…。ところが、新型コロナウイルス問題のために、内定の取り消しの知らせが来た。3月31日現在、23社58人にのぼります。そもそも、内定とは「始期付解約権留保付労働契約」といわれ、労働契約を会社と個人が結んだことになります。それを破棄することは、解雇権の乱用に当たると最高裁も判決を出しています。

 日本共産党の宮本徹議員は3月6日、倉林明子議員は3月24日、衆参両院厚生労働委員会でこの問題を取り上げました。加藤勝信厚生労働相も、「内定取り消しは、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は無効と申し上げたい」と述べています。

 新年度に入っても、内定を出したまま、入社時期を延期している会社もあります。心配な方は、ぜひ、全労連の労働相談ホットライン(前出)などに相談してください。また、厚生労働省も内定取り消しの回避に向けた事業主への指導に乗り出し、就職支援をするための専用の窓口を設置する予定です。

授業料等減免額(上限)・給付型奨学金の支給額

【授業料等減免】

 授業料等減免の額は、授業料等減免の対象となる学生等の在学する学校の種類、設置者等の別に応じた一定額(住民税非課税世帯については下の表の額)を上限として、当該学生等に係る授業料及び入学金の額とする。また、非課税世帯に準ずる世帯の学生等に対しては、非課税世帯の学生等に対する減免額の3分の2の額又は3分の1の額を減免する。

【給付型奨学金(学資支給金)】

 非課税世帯の学生等に対しては、下の表の額を、非課税世帯に準ずる世帯の学生等に対しては、その額の3分の2の額又は3分の1の額を支給する。

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