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<9.12主張> 安倍再改造政権 異常な改憲実現へのシフトだ

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安倍晋三首相(自民党総裁)が党役員人事と内閣改造を行いました。昨年10月の改造以来の、第4次安倍再改造政権のスタートです。

 自民党では二階俊博幹事長と岸田文雄政調会長が続投、内閣でも麻生太郎副総理・財務相と菅義偉官房長官が留任しました。安倍首相は党役員会で、「憲法改正を党一丸となって力強く進めたい」と述べ、改憲への執念を示しました。外相には日米貿易交渉を担当してきた茂木敏充前経済再生担当相が、防衛相には河野太郎前外相が起用されました。国会への自民党の改憲案の提示や、10月からの消費税増税などを意識した体制です。

「側近・タカ派」色濃く

 自民党の役員人事と内閣の改造にあたって安倍氏は、「人事を刷新し、安定と挑戦の強力な布陣を築きたい」(3日の党役員会で)といいました。しかし結果は「刷新」どころか、自民党では二階氏や岸田氏、閣僚では首相に近い麻生氏や菅氏が留任しました。茂木新外相や厚生労働相として再入閣した加藤勝信前自民党総務会長も首相と親しいメンバーです。首相最側近の萩生田光一前幹事長代行は文部科学相に就きました。側近・タカ派政権の性格は色濃いものです。

 重大なのは、安倍氏が党役員人事・内閣改造に際して主張した改憲の推進を、二階幹事長や鈴木俊一総務会長、岸田政調会長、下村博文選対委員長ら党4役も口をそろえて表明したことです。参院幹事長に首相側近の世耕弘成前経済産業相を送り込むのも改憲推進のためです。

 10月召集予定の臨時国会に自民党案を提示し、改憲案発議への動きを推進しようという首相の執念は露骨です。国民は先の参院選で、自民党などの「改憲勢力」に3分の2の議席を与えていません。改憲を阻止する世論と運動を高めることが急務です。

 日米貿易交渉を担当してきた茂木氏を外相に起用したのは、今月下旬開催予定の日米首脳会談で、アメリカのトランプ政権に大幅譲歩した合意を結び、その後の国会での審議をにらんだ布陣です。これまで韓国に対する強硬外交を進めてきた河野太郎前外相は、防衛相にあてました。これでは韓国との関係改善の道は見えません。安倍外交の危険性もいよいよ明らかです。

 副総理・財務相に留任した麻生氏は、国有地を格安の価格で払い下げ、国会での虚偽答弁や公文書の隠ぺい・改ざんをした「森友」疑惑で前国税庁長官をかばい続けたことなどで監督責任が問われてきました。麻生氏を続投させたのは、国民世論を無視し、10月からの消費税の10%への引き上げを強行するための露骨な人事です。

退陣に追い込むことこそ

 財界団体の一つ、経済同友会の桜田謙悟代表幹事は内閣改造に先立ち、「痛みを伴う改革」を実行するよう注文を付けました。首相に近い加藤氏を、社会保障を担当する厚労相に据えたのは、そうした「改革」のための布陣です。

 昨年の自民党総裁選で3選されて任期があと2年残っている安倍首相は、改憲のために任期中の総選挙まで念頭に置いているといわれます。首相側近とされる下村氏を、党選対委員長に据えたのもそのためとみられます。安倍政権を一刻も早く退陣に追い込むことが、ますます重要です。

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